顧問より

顧問挨拶
 社会部は2014年に、当時、特進にいた高校1年生の森真幸人くんが中心になり、法律学・政治・社会・経済に興味のある特進の生徒10人によって創部されました。(それ以前にも「社会部」はありましたが、部員がゼロで数年間活動休止していたので、それを再建した形になります。)
 中学3年の時から森君を授業担当していた関係で顧問の就任を依頼され、それ以降ずっと、非常に優秀な生徒諸君と、楽しく、また顧問自身も日々勉強させて戴いています。
 ところで「社会部/Social Studies Club」は聞きなれないもので、どこの大会/シンポジウム/自治体、省庁、大使館、政治家などの取材に出掛けても、「社会部?それって何をやってるの?」と尋ねられます。
 部員はそのたびに、「ビジネスアイデアコンテストに出たり、地域の活性化とか、被災地の訪問取材とか…とにかく色々研究してます」と曖昧な答えを捻りだしているようです。
 おそらく、社会部は何をしているか?を問うことに意味がないのでしょう。(なぜかと言うと、例えばK君はT君やS君O君とキャリア甲子園に参加し、Y君とSIR大会に参加し、部員全員と鹿屋100チャレに参加する、という感じで、これが他の全部員にあてはまるからです。)
 ですから、「社会部は何をやっているのか?」よりも、「社会部は何のためにあるか?」と問うべきなのでしょう。
 そして私は「社会部は、生徒が未来に”飛び立つ”ためのプラットフォームだ」と思っていますし、常々部員にもそう言っています。
 
 自分のしたいことは何か、得意なことは何か、何に問題意識をもっているのか。何を解決するために大学に行こうとしているのか。
 それを発見した生徒たちは、強いです。しかも、素晴らしい速さで成長していきます。
 顧問の生半可の知識などをあっという間に飛び越えて、「先生、これはこうです」とか「先生、これをやりましょう」と言ってくれます。
 ここまでくれば私の仕事は終ったも同然で、「いいね!ぜひその知見を取り入れて」とか「素晴らしい!ぜひやって頂戴」と彼等を応援するだけの役回りになります。
 
 ですから顧問の仕事は、彼等に、最低限のルール(企業への電話のかけ方や、ビジネスマナー、取材する時の姿勢、そしてアイデアが絶対に人権を尊重するもので、誰も差別したりすることがなく、更に地球環境を保護するものであること)を身に着けてもらいながら、彼らに伴奏していく、ということになります。
 そして彼等の議論が迷走したり、問題意識の持ち方がズレているとき(学校型秀才には、「多面的にものを見る」ためにちょっとしたトレーニングが必要です)、釘を指したり(「こういう本/記事/サイトを見てからもう一回プラン持ってきて」のように)ちょっとした方向指示をします。そして袋小路に入ったら、みんなで「答えは現場にある!」ということで、農家さんや自治体職員や政治家や被災者のお年寄りや地蔵通り商店街の買い物客やノルウェー大使館や企業さんに直接質問したりアンケートを取りにったりします。
 こういう活動をするうちに、彼等は「現実から学ぶ」ことの面白さに目覚めます。
 すでに社会部の第一期生は大学院修士1年、または社会人1年生になりましたが(2020年3月現在)、みな大学時代から大活躍しています。
 湘南に子ども食堂MOPを設立し、お寺をかりて運営しているT君や、フィリピンでスラム街の青年たちに刷ごとを与えるNGOのPALLETを運営していたH君が、一番「社会部っぽい」OBでしょうか。
 けれどもそれ以外にも、在学中からIT企業やコンサル企業のインターンをしてそのまま就職したOBは多く、また変わり種では地方政治家の秘書を務めて現在司法修習生など様々で、「大学に入って特にバイト以外何もしていない」OBは、おそらく非常に少ないと思います(そんなのいるのかしら?)
 外国に留学中のものも複数、外国で働いている者数名、国内外を飛び回ってネットで世界中を繋いで投資団体Slushで大活躍しているH君などは、果たして体は日本にあっても「日本にいる」と言えるのかどうか…。
 まさに、グローバル化する日本社会での最先端を走る人材が生まれている部活です。
 そして、逆に言えば、なぜ、普通の授業では(ほかの学校でも)それができないのか?と思いもします。日本の中高生は物凄い能力を持っています。しかし、それを育てる場や、顧問(というか教育メソッド)が未熟で、なかなか彼らをeducateできないでいる。まことに申し訳ない気がしています。
 4月からは7年目ということで、部員数もなぜかどんどん増えて30人を超えていますが、実は新高校1年生が一人もいないという現状なので、現部長のM君が危機感を覚えてこの部活紹介サイトを作ってくれました。
 現時点で待ったなしの「消滅可能性部活」ですが、兼部もOKですので、もし興味を持ったらお試しにでも社会部に来てみてください。とはいえ5月から始まるInternational Trade Challengeという物凄い大変なコンテスト(All Englishのビジネスアイデアコンテスト)に放り込まれるので、結構たいへんだと思うかもしれませんが…ついてきてくれると嬉しいです…。
社会部顧問 松尾弥生(公民科)
2020年3月10日
コロナ・ウィルスで大混乱の東京にて